下記の会議に公立大学協会を代表して出席しましたので、報告いたします。

ワークショップ「高等教育分野における日独国際交流」

日時  平成13年6月18日
場所  国際研究交流大学村 東京国際交流館 プラザ平成

ワークショップの目的

大学及び高等教育機関はその学術的追求と国境を越えた啓蒙により、理論的には国際的組織とみなされるのが常です。しかしながら、その人的・物的資渥及び教育課程の多くは国家原理に大きな影響を受ける一方、しばしば大学は独自の文化的存在として国家に組み込まれ、保護されてきました。近年、国際化とグローバリゼーションにより、高等教育に対する国の認識に抜本的改革が求められているという意識が高まりつつあります。

知恵の時代といわれている21世紀において、国家が、潤いや活力に満ちた社会を実現し、国際社会において自らの存立基盤を確保し、その責務を果たしていくためには、知的基盤への先行投資が不可欠です。このためには国際交流、産学官連携、情報発信の機能を有機的に連携させ、国公私立大学の留学生や外国人研究者を含む国内外の産学官関係者の融合の下に、知的ネットワークの形成・世界に向けた情報発信の拠点を形成する必要があります。

日本及びドイツは、広がりつつあるグローバリゼーションに対応するため、学術交流の全体的増加を目指し、外国の学生をひきつけるような大学のシステム改革に取り組むことを求められています。

このワークショップは、国際研究交流大学村の中に建設される東京国際交流館が開館することを記念するとともに、日独及びアジア諸国間において、学生や研究者の移動性を高め、大学と研究機関との協力を推進するための問題を明らかにし、その展望と支援方策を探るために開催されます。日独及びアジア諸国から、大学、行政機関、国際交流機関から専門家が参加します。

国際研究交流大学村は、そのような拠点施設となるもので、世代を超えた新しい思想や科学技術を創造し、国際的な指導者を養成する場となり、その成果や情報を世界に伝播させ、国際社会と人類の発展に寄与することを目指しています。

■ 参加者

(日本側)
石井紫朗  内閣府総合科学技術会議議員
工藤智規  文部科学省高等教育局長
坪井 裕  文部科学省高等教育局長留学生課長
中嶋嶺雄  東京外国語大学長
内藤喜之  東京工業大学長
廣渡清吾  東京大学副学長
加藤祐三  横浜市立大学長
西原春夫  学校法人国士舘理事長
中西広治  日本学術振興会理事
(ドイツ側)
Albert Spiegel  外務省文化局長
Hartmut Krebs  北ライン・ウェストファリア州教育科学研究大臣
Ulrich Teichler  カッセル総合大学研究高等教育センター長
Barbara Ischinger  フンボルト大学ベルリン副学長
Volker Klein  日独ベルリンセンター事務局長
Ulrich Lins  ドイツ学術交流会東京事務所長
(アジア諸国)
Tatchai Sumitra  タイ チュラロンコン大学長
MIN Sang Kee  韓国ソウル大学大学院長
陳 紅  中国 清華大学国際合作処専家与交流室主任

プログラム

開催挨拶
 工藤 智規  文部科学省高等教育局長
 シュピーゲル ドイツ外務省文化局長
セッション1
高等教育における国際交流に関する日本の政策と現状
  坪井 裕(文部科学省)
国際化とグローバル化の挑戦に対するドイツの対応(最近の政策及び展望)
  UlrichTeichler(カツセル総合大学)
質疑応答
セッション2
大学の国際化とグローバル化
  中嶋嶺雄(東京外国語大学長)
国際化と協力(大学を世界に開く)
  Barbara Ischinger(フンボルト大学ベルリン)
 質疑応答
セッション3
日本の科学・工学
  内藤 喜之(東京工業大学)
日独の学術交流(ドイツ学術交流会の経験)
  Ulrich Lins(ドイツ学術交流会)
質疑応答
セッション4
日本及びドイツの大学との国際交流に関する見解
  Tachai Sumitra(タイ チエラロンコン大学)
日本及びドイツの大学との国際交流に関する見解
  MIN Sang Kee(韓国ソウル大学)
日本及びドイツの大学との国際交流に関する見解
  陳 紅(中国清華大学)
質疑応答
セッション5
クローバル化社会における国家と大学
  廣渡 清吾(東京大学)
日独の学術交流(北ライン・ウエストフアリア州の展望)
  Harmmut Krebs(北ライン・ウエストフアリア州教育村学研究大臣)
討議 とりまとめ 閉会

ワークショップ後記(加藤祐三)

  1. G8文部・文化・科学大臣の合意にもとづき始まった、高等教育の国際交流に関する会合であり、有意義であった。今回の日独は、5月の日仏と日本カナダにつづくもの、公立大学協会はそのすべてに関与してきたが、これからも継続的にかかわっていく必要があると考える。
  2. 現実の日独大学間交流は、それほど活発とは言えない。その理由として挙げられるのは、①言語媒体に英語を使う必要性の可否が明白ではないこと、②2大学間の交流と、日独など2国の交流、そして広域間交流などレベルの異なる交流をつなぐ軸がまだ構築されていないこと、③分野の違いによる交流需要に濃淡があること等。
  3. これからの具体的方策までは議論が及ばなかった。行政と大学等との今後の連携が不可欠と思われる。なお国公私の大学間で国際交流に関する共通の協議体を設ける計画が進んでおり、近く実現するはずである。上記の諸問題はこの場で協議し、次の方針をたてるのが適当と考える。 以上