2001年7月25日(水) 14時~17時
公立大学協会事務局会議室
委員長 森
委員 秋野・荻上・磯部・加藤・見藤・児玉・田中
議事に先立ち、文部科学省「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」の「中間報告とりまとめの方向(案)」(平成13年7月)に対する調査検討会議委員の意見提出期日について、確認がなされた。人事制度委員会は7月23日、組織業務・目標評価・財務会計の各委員会には31日が締切である。
森委員長からは、自身が所属する人事制度委員会の締め切り日までにレポートを提出したが、調査検討会議のメンバーである他の3委員にもこれまでの所属委員会の議論をふまえてそれぞれに意見を提出することが望まれること、公大協としては、ひきつづき9月に発表される中間報告に対する意見の集約につとめなければならないことが提起された。このことについて、委員からは、現時点での意見によって中間報告の大枠が変更される見込みがないことから、むしろ中間報告が出た段階での意見提出が重要であるとの意見も出された。
つづいて、これまで問題点等が指摘され懸案事項となっていた文科省調査検討会議「中間報告のとりまとめの方向(案)」についての検討に入った。
最初に、管理運営組織についての検討をおこなった。国立大学法人の特徴である教学の長と経営の長が同一人格である。このことについて、公立大学が法人化する場合には、教学と経営の担い手を別にした方が、両者の適切な緊張関係を保持しつつ、教学側は教育研究の主体的な立場を法人に対してぶつけることができる、という意見が出された。一方、規模の小さい大学では、教学機能と経営機能を分離することのメリットがあまりなく、実際に教授会と設置者との間に入って意見調整をおこなっている経験からも、両者の長は同一人格であった方が都合がよいとの意見も出された。
公立大学は、大学の規模や性格、設置者との関係が多様であることから、これを法人化する場合にも、その管理運営組織は多様な形態をとり得ることがのぞましく、地方公営企業に準じた形態など、現行の設置形態と法人化との中間的な形態についても採用する余地があるのではないかという意見が出された。これに対して、地方公営企業法は大学の経営を想定しておらず、行政からの自律性確保という点でも中途半端な制度であることが指摘された。また、公立大学が法人化された場合、独立採算性が強まり、運営資金確保が困難になるのではないかという不安があることについては、今日、その問題は法人化するかどうかにかかわりなくついてまわることから、法人化により大学の自律性を向上させることのメリットが大きいとの意見も出された。
公立大学が法人化された場合、法人は、大学の運営資金の確保と対外的な説明責任を負うことになる。このことに関連して、田中委員より、北九州リサーチパークの事例が紹介された。北九州市立大学は、国際環境工学部のある新キャンパスに、財団法人北九州学術研究都市が運営するリサーチパークを設立。別法人であるテクノセンター、メディア創造センターとともに、他大学・研究機関や産業界との連携をおこなっている。こうした活動は、従来の大学スタッフや大学の組織の手に余るものであることから、独自の法人組織をつくる必要がある。
地方自治体が公立大学の法人化をすすめる動機が、必ずしも大学にとってのメリットという点だけでないことについては、法人組織がつくられれば、それが設置者の干渉を緩和するバッファとなることが期待されるが、一方で、法人の長の人選次第では設置者と一体となって大学に干渉してくる可能性も否定できないとの指摘もあった。これに対して、争点は法人化の是非そのものではなく「大学の方針」をめぐるものであり、法人化はその議論をする契機となりうるという意見が出された。
国立大学が独法化された場合、法人格をもつことが大学の標準的な形態となり、法人化しない公立大学が制度面や研究者の移動等の流れから取り残される心配があるが、公立大学相互の人事交流が実施寸前まですすんだ例もあり、現行設置形態での改革の余地もなお少なくない。これらの論点を含め、公立大学の法人化の形態等についての結論を急ぐべき時期ではないことから、今回の委員会の段階では、公立大学の法人化についての議論は、法人化の形態は多様であるべきことを確認することにとどめた。
次に、運営組織の問題について検討をおこなった。文科省調査検討会議が作成した「中間報告とりまとめの方向(案)」(平成13年7月)において有力だといわれる B案では、学長、副学長、その他の役員、学外者も一部入った役員会を執行機関として置くこととしている。役員会は議論の「たたき台」を作成し、これを2つの諮問機関(財務会計・組織編成・職員配置・給与問題などの「経営の重要事項」をとりあつかう運営協議会と、教育課程・教育研究組織・教員人事・学生の身分といった「教学の重要事項」についてあつかう評議会)においてそれぞれ議論することで、経営と教学の連携を図るとされている。
この案について、国立大学の場合、文科省という一元的な設置者が存在していることを考慮して読むべきであることが指摘された。また、B案は、組織構成は明快だが、運営協議会・評議会・役員会という3者の業務の循環が示されていないため、役員会に過度の権限と業務が集中し、運営協議会は新しい諮問機関、評議会は古い諮問機関になってしまう可能性があるとの疑問も出された。
※ 他の案との異同について、A・B案は「役員会を置かないといけない」とはいっておらず、学長(13、14頁の2重線)補佐体制のみを想定しているのに対して、C案の場合は役員会(15頁の2重線)を組織として置くことが規定されている。
つづいて、学長の選考のあり方について検討した。「中間報告のとりまとめの方向(案)」では現在に多くの大学が実施している投票制度についても言及されるようになった(27頁)が、投票参加者の範囲、投票のパターンなど不明確であり、また、この点については人事制度委員会でも集中的に議論になったことはなく、依然として漠としたままである。また、学長の選考について学外者が何らかの形で関与することはほぼ合意されているものの、具体的な選考過程に絞った議論はされていないことなどが確認された。
その他の問題として、評価機関のことが議論された。この間、国立大学法人に対する評価が、多元的評価から、機構(大学評価・学位授与機構)だけにしぼられつつある。こうした評価機関の一元化について、文科省直営の機構が専一的に国立大学を評価することは問題であり、機構を国営のまま残すのであれば、国は、他の評価機関にも公的資金を出すべきであるという意見が出された。さらに、こうした文科省直営の専一的な大学評価の方式は、国際的常識に反するという強い意見もあった。関連して、機構を含めた多元的評価をおこない、自己評価と併せて自治体の評価委員会にレポートを提出する、という公立大学評価の方式が議論されているとの事例も紹介された。
最後に、森委員長から、公大協としては、中間報告とは別のところの動きにも注意を払い、国私立大学との連携もにらんだ対応をしていかなければならず、また、中間報告が出ればそれに対する明確な意見をまとめなければならないが、今日の議論は、そのための予備討論としては豊かな芽があったとのまとめの発言がされた。本委員会としては、これらを整理し、会員に還元するとともに、調査検討会議の4つの委員会に参加している委員(組織業務―田中、目標評価―加藤、人事制度―森、財務会計制度―児玉)を通して、委員会の議論の成果を積極的に中間報告の論議に反映させることが確認された。
前回までの議論をふまえて作成されたアンケートの案(「メモ:公立大学の地域貢献について」)について討議した。作成者の森委員長から、全体の構成と概要、内容面では磯部委員の論文(公大協公立大学のあり方検討会編『分権時代の公立大学』第1章、2000年3月)の発想が生かされていることなどが説明された。
これに対して、各委員から、まとめられた「公立大学の地域貢献」のレポートは単なる例示にとどまらず、それ以外の例を求める「呼び水」となりうること、2~3の項目を追加すればアンケートとして通用すること、などが発言された。
また、国際レベルの研究、交流活動を公立大学がおこなうことの論理について次のような事例が紹介された。
これらの例が出された後、これらを含む地域貢献は、研究・教育や医療などいくつかの大学の主要機能の中に位置づけられる必要があることを指摘しないと、公立大学はこれに特化すればよいとの誤解を与える恐れもあるとの指摘がされた。関連して、国私立大学もそのほとんどが地域貢献を意識せざるをえなくなった今日、公立大学の地域貢献の固有性はどこにあるのかという問題も提起された。
以上の議論を森委員長が再度集約し、アンケートの案を作成。メールによる意見調整を経た後、各大学に発送して意見を求めることとなった。各大学からは9月5日までに意見を寄せてもらい、これらをまとめて10月の理事会に提示、課題を絞って11月の学長会議で議論するなどの日程も確認された。
また、アンケートにITを活用した地域貢献の項目を追加してほしいということ、今後、関連省庁との勉強会を想定した場合、専門委員を推薦する体制をとる必要があることが意見として出され、了承された。
次回会議は9月27日(木)、13時30分~15時30分におこなうこととなった。※
※ その後の情勢の展開により、8月18日(金)に第10回委員会が臨時に開催された。なお、この「議事の概要」は、公大協HPへの掲載が第10回委員会分より遅れたが、あくまで7月25日段階での認識であることに留意されたい。
以上