公立大学協会組織等検討会
平成13(2001)年4月13日
この中間報告は、これまで公立大学協会組織等検討会において順次検討を重ね、学長アンケートや学長研修会等での討議を経てきた項目のうち、一定の成案を得たものを先に示し、今後の継続検討課題を後に示してある。なお当委員会は平成13年度も存続させ、新組織への移行期における執行管理と継続課題の検討を行い、年度内に解散する方針である。
前世紀の終わりに本格化した国際環境と国内の社会構造の変化は、21世紀に入ってなお目まぐるしく展開している。冷戦構造の崩壊、経済のボーダーレス化は地域を直接に世界に向かって開く契機となり、IT革命がそれに拍車をかけている。地球環境問題、国際・地域間交流等の要求は、一国の枠組みとは異なる次元の対応を求めている。国内にあっては、産業構造の変化、少子高齢化、国民の生活要求の多様化と高度化が進行し、これらに対応できる日本社会の改革が不可欠である。
こうした環境変化の中、地方自治体には、一方で世界を見据え、一方で地域住民のニーズを充足する本格的な地方政府としての機能が期待されている。自治体が設置する公立大学には、地域社会の活性化を先導し、知的貢献を行うべき大きな役割が求められている。
この期待と同時に、今日の公立大学を取り巻く環境には大きな困難が存在する。地方財政の悪化により、公立大学に対する公的支出は減少傾向にあり、また厳しいアカウンタビリティーが求められている。だが、地域住民の視線に自らをさらし、大学の存在意義を説明していくことは、公立大学をその本来の姿に近づけていく積極的な意義をあわせ持つはずである。
また国立大学等の法人化が目前に迫っており、公大協は昨秋「法人化問題特別委員会」を設置、遅ればせながらも本格的な検討を始めている。公立大学の法人形態がどのような法的枠組みになり、また各公立大学と設置者との関係をどのように新しく構築していくべきか等、未定ながらも取り組むべき多くの課題がある。
21世紀の公立大学は、各大学が設置者・地域住民や企業等と手を携えて探っていく道を主体的に探るなかで初めて活路を開くことができるであろう。それは暗がりの中を手探りで独り歩む道ではない。公立大学が自らの組織である公立大学協会(以下 公大協と略称する)の役割と組織を見直し、各大学が公大協に結集し、英知を集め、共通の課題解決のための研究・開発を通じて情報と経験の交流研鑚を行うこと、そして会員校が公大協を通じて相互に支援できる体制を構築すること、これこそが公立大学にとって確かな道しるべとなるに違いない。
今回、公大協は、21世紀の公立大学の組織にふさわしい組織等の改革に一歩を踏み出した。検討会において成案を得た課題をここに提案する。残された課題はさらに本年度の継続課題とする。この一歩が、公立大学と地域社会及び人類社会の発展にとって大きな意義を持つよう願っている。
公大協は、わが国の公立大学の全国組織であり、近年増加傾向にあり、平成13年度の会員加盟校は74校となった。内外の環境変化の中で、公立大学が抱える課題は数多く、個々の大学や設置者がそれぞれに解決することは困難なものが多い。そこで公大協の組織等を改革し、公立大学の存在意義を明らかにして、共通課題の解決を図るなど、公大協でなければできない役割を強化する必要がある。
これまで公大協が実施してきた主な事業は次のとおりである。
今後、公大協には、これまでの事業に加え、以下のような新しい事業を展開していくことが求められる。
公大協は、1949(昭和24)年の発足以来、各地区より選出された理事により、理事会を組織して会務の執行に当たるとともに、委員会、部会、協議会(図書館協議会・事務局長連絡協議会)等の組織を次第に整えてきた。1962(昭和37)年に東京連絡事務所(後、東京事務所)が開設されると、それまで東京都立大学に固定されてきた事務局を会長校事務局内に設置することとなった。
1994(平成6)年、公大協は大規模な規程の整備に取り組んだ。ここでは、従来明文化されていなかった会長・副会長・理事・委員の選出基準、各機関の所管事項や設置手続き等について明文化することとし、会則・細則に加え、申し合わせ事項による組織の細部にわたる整備が行われた(「委員会等に関する見直しの経緯及び結果」)。
しかしながら、先に見た内外の環境変化に加え、整備した組織と組織の関連、役員等の職務と責任の明確化、事務局体制など、さらに充実すべき点が残されていた。
これからの公大協組織は、新たな時代の公立大学の理念を具現化し、要請のある事業を実施するのにふさわしいものでなければならない。今回、1994(平成6)年以来の会則・細則・申合せ事項等の一部を改正し、公立大学協会の目的の具体的実現が果たせるよう、組織等の改革に取り組んだ。
組織等改革の軸をなす考え方は、次の5点である。
以上の考え方を実現するための手段として、対面討議と同時に、公大協ホームページやeメール等のITを積極的に活用する。
以上の考え方にもとづき、以下の各項にわたる提案を行う。
総会を、公大協の最高議決機関にふさわしい内実ある議論の場とする。秋の学長研修会(学長会議)を重要課題についての討議、状況の確認や意思決定を行う場として活用することとし、これを適宜臨時総会に振り替えるなどして討議機能の充実を図る。
執行機関としての理事会機能を強化するため、理事数を10名程度として機動性を高めるとともに、会長指名理事を配置する。理事は委員会の長や委員を担当し、また地区協議会の議長の役割を担う。課題解決型で、しかも責任ある執行体制を確保するなど、成果が明らかとなるよう、その役割を明確にする。
理事選出方法は持ち回りを廃して、各地区協議会において理事にふさわしく、役割を担える人物を選出する。
地区協議会の主な役割は、理事選出、政策情報による研究、地区内の情報交換、各公立大学の課題要望の把握、常設委員会等からの調査事項、審議会に対する意見の集約等である。これらの課題の重要性に鑑み、地区協議会を地方分権時代にふさわしい実質的な機関とする方向を探る。
現行の5委員会制を見直し、委員会は個々の公立大学で解明困難な共通する課題について研究開発する機関とする。また緊急的な課題に柔軟に対処するために特別委員会の積極的な活用を図る。委員会で研究開発した成果は、あらゆる機会を通じ迅速かつ公平に会員校と設置者に提供する。委員会には、理事会の担当理事を置き、理事会との連携を強化する。なお、委員会は主に学長により構成されるため、当該校の教職員による支援体制が不可欠であり、委員会に専門部会を置くなどの対応が望ましい。
現行の部会構成員は学長以外が多く、公大協の組織的活力の源泉である。当検討会では部会問題について直接の検討を加えなかった。平成13年度に「公立大学協会の部会に関する特別委員会」(仮称)を設置し(この検討会で代替する案もある)、今後、部会の設置・運営に関する規則(設置手続き・加入方法・活動内容等)についての検討を進め、成案を得た後、総会における承認を経て、現在の部会制度は廃止する。新たな規定に基づき、開設を希望するものから順次、新しい部会の設置・運営を行う。
会員校の増大に伴う事務量の増加に加え、新しい事業を進めるためには、事務局を抜本的に強化することが不可欠である。会長に付随して事務局が移動する従来のやり方は、事業の継続性を欠くとともに、職員の経験も蓄積されず、また特定大学に負担を強いるため、望ましいものではない。
今回の改革では、これらの問題を解消するために、事務局を固定化し、専任職員を配置することとした。事務所は交通の便、中央官庁等との距離を考慮して東京都港区西新橋に置いた。これに伴い東京事務所は廃止する。
事務局機能の強化には、会員校の教職員による支援体制が不可欠である。その具体的方法については、平成13年度の継続検討課題とする。
会長は、理事会の議長として公大協の運営にリーダーシップを発揮するとともに、対外的に公大協を代表する。会長にふさわしい指導力と識見を兼ね備えた人物が選出されるよう、特定大学の持ち回りをやめ、理事会で選考し、総会で選出する。会長の任期は2年とする。
会長同様、副会長にも公大協組織運営をリードする指導力と識見が求められる。会長を補佐する役割を明確にする。副会長の任期は2年とする。
理事は理事会の構成員として集団的に公大協の組織運営に責任を持つとともに、担当する委員会等(大学の管理運営や研究・教育上の課題等)について専門的知見と意欲を持つことが求められる。地区協議会は、このような配慮のもとに地区選出理事を推薦しなければならない。理事の任期は2年とする。
財政基盤の強化と組織活動の見直しに伴い、監事の役割が大きくなる。この重要な役割を担える人物を選任する。監事の任期は2年とする。
委員会の長は、担当分野の課題についての専門的知識を有し、経験交流や意見集約にリーダーシップを発揮しなければならない。委員会と理事会の連携を密にするため、各委員会の長は理事とすることが望ましい。
委員会を公立大学の直面する課題についての専門的な研究・協議の場とするため、委員は課題についての識見や研究意欲を持ったメンバーで構成する。
公大協の地域の拠点、理事選出母体としての地区協議会の役割は大きい。地区協議会の議長は、地区の課題を把握し、情報交換や意見集約、各省庁や公大協が開発した政策情報等をもとに研究・普及を行うよう、リーダーシップを発揮する。そのため、地区協議会には必ず学長が出席する。
各部会の長は、各分野の課題について専門的知識を有し、経験交流や意見集約のリ ーダーシップを発揮することが求められる。部会は、専門的知識と意欲を有する委員により構成する。
委員会の議論をより専門的に行うことのできる体制を作るため、必要に応じて、委員会の委員以外から専門委員を加え(主に加盟校の教員を中心とし、いない場合には適宜人選する)、意見聴取や課題研究を積極的に行う。また、必要に応じ、委員会に専門部会を置き、専門的な事項に対応する。
固定事務局を維持するためには財政基盤の強化が欠かせない。同時に、大学間の負担金格差を是正する必要がある。そのため、25年間続いてきた普通会費の算定方法を次のように改める。
会費算定方法改正の基本的な考え方は、公大協が大学を会員とし、共通サービスの多くは大学を単位としてなされていることから、基本割の比率を高め、これに学部割と予算割により学部数と大学の規模を反映させる。
| 区 分 | 金 額 | |
|---|---|---|
| 〔新〕 | 〔旧〕 | |
| 基 本 割 | 1大学につき 250,000円 | 1大学につき 80,000円 |
| 学 部 割 | 1大学につき 100,000円 | 1大学につき 38,000円 |
| 予 算 割 | 前年度当初予算の経常経費の 1万分の1.3相当額 |
前年度当初予算の経常経費の 1万分の1.5相当額 |
| 総 額 | 63,306,900円 | 44,965,600円 |
| 区 分 | 最高額(a) | 最低額(b) | 格差(a/b) |
|---|---|---|---|
| 改 正 後 | 4,113,300円 | 414,500円 | 9.9倍 |
| 改 正 前 (平成12年度会費) |
3,862,100円 | 183,000円 | 21.1倍 |
以下の項目は今後の検討課題として継続検討を行う。
なお、加盟校に配布してある冊子『公立大学協会会則・細則 公立大学協会申合せ事項』(平成12年度 全53ページ のうち1~19ページの本文)について、以下のとおり修正する。
第1回 平成12年8月18日
第2回 平成12年9月4日
第3回 平成12年10月6日
第4回 平成12年11月23日
第5回 平成12年12月26日
第6回 平成12年1月24日
第7回 平成13年3月2日
| 座長 | 加藤祐三 | 横浜市立大学長 |
| 委員 | 秋野豊明 | 札幌医科大学長 |
| 同 | 野田一夫 | 宮城大学長 |
| 同 | 見藤隆子 | 長野県看護大学長 |
| 同 | 森 正夫 | 愛知県立大学長 |
| 同 | 児玉隆夫 | 大阪市立大学長 |
| 同 | 田中愼一郎 | 北九州市立大学長 |