平成20年4月より大学設置基準によってFDが義務化されたことなどを踏まえ、公立大学間の事例交流を目的に、3回のFDミニセミナーが開催された。
開催の成果については、教学委員会の学士課程教育作業部会で取りまとめが行われることとなっている。
会場:公立はこだて未来大学 参加者:20名
施設設計及び組織体制自体にFDの思想が取り入れられている大学の紹介、その環境を活かして展開されているプロジェクト学習の事例報告のほか、講義の見学も含めた充実したキャンパスツアーが行われた。
会場:茨城県立医療大学 参加者:30名
単科大学におけるFD活動の実際として、学務委員会のもとにFD企画運営部会と教育推進室の2つの組織をおいて取組みを推進している茨城県立医療大学の事例が紹介された。ディスカッションでは、各大学が抱えている課題等が持ち寄られ、参加者間で熱心な意見交換が行われた。
会場:大阪市立大学杉本キャンパス 参加者:75名 (大阪市立大学・大阪府立大学連携)
大学教育に係るセンターを設置している事例として、大阪市立大学と大阪府立大学の2大学から、センターの存在を活かしたFDの取組みが報告された。協議では、全学的な取組みにあたっての組織体制、実践の在り方等について意見交換が行われた。
茨城県立医療大学准教授 富田美加
これまで高等教育において、「小規模単科の公立大学」はなかなか脚光を浴びることの少ない存在であり、昨今のFD論議においても大規模大学における事例が主流であった。今回はその小さいという特徴ゆえに、このFDミニセミナーの開催校をお引き受けすることとなった。
開催校に決まったのは、開催まで2ヵ月足らずの頃であった。担当者として最も難題だったのは、参加者の人数と各自のニーズをどう読むかであった。テーマを「小規模単科大学におけるFD活動」としたものの、果たして似通った大学関係者ばかりとも限らず、まして本学は医療系に特化しているため、参加者のニーズを満たせるかどうかが最大の気がかりであった。幸いなことに、突っ込んだ意見交換の可能な約30名という参加者数で、個々の抱えている事情や問題意識を持ち寄っての有意義なセミナーになったのではないかと思う。
学生数約700名という本学からは、教育改善に向けてどのような工夫をしてFD活動に取り組んでいるかを事例としてご紹介した。近年、FD義務化の流れの中で、全国では各教員のニーズに対応したFDメニューが華々しく実施されているが、本学の参考のためには、小規模大学ならではの工夫を事例として収集する必要性を強く感じていた。一方、現在わが国では、医療系大学が破竹の勢いで急増しており、医療専門職業人の育成に特化した大学ならではのFD活動のあり方についても急務の課題である。このような中、このたびの公立大学協会によるセミナー開催は、まさに本学として時宜を得たものとなった。
今回のセミナーでも話題にのぼったが、学生による授業満足度調査や厳正な成績評価、公開授業、学生のFD活動への参画等、今後、本学が検討すべき課題は山積している。これらを解決していくためのコミュニティは、学会をはじめとして多く存在するが、「公立大学としての共通課題」という観点からの情報交換や協力・連携も強化していきたい。こういったネットワーク形成の足がかりとして、このFDミニセミナーの場は大いに威力を発揮したのではないだろうか。
最後にこの貴重なセミナーを本学で開催できましたことに、心から感謝を申し上げます。