会長挨拶(松尾会長)


一般社団法人公立大学協会
 会長 松尾太加志(北九州市立大学長)

 公立大学協会は、「公立大学の振興と我が国の高等教育、学術研究の水準の向上及び均衡ある発展に寄与することを目的」(定款)とし、1949年に創立されたものです。

 全国には800弱の大学がありますが、公立大学の数は国立大学(86大学)よりも多く、現在98校(2021年度現在)の公立大学が本協会に加入しております。ただし、学生の在籍者数は国立大学が60万人弱であるのに対して公立大学は16万人弱であり、小規模大学が多いのが公立大学の特徴です。

 公立大学を設立しているのは地方自治体です。県や市が設立したり、いくつかの自治体が共同で設立したりしており、公立大学は地域に根差した教育・研究を行っております。地元との繋がりが緊密で、地域と連携した様々な活動を通じ地域が抱える課題の解決に貢献し、地元に親しまれ我が街の大学として発展しております。地方創生が叫ばれる中、我が国が抱えている諸課題は地域から変えていくことが必要です。そのために公立大学は地方創生の核になる存在でもあります。

 公立大学は、小規模大学が多いためきめの細かい教育が実現でき、地元に優秀な人材を輩出するだけではなく、国際交流を積極的に行っている大学も多く、世界に羽ばたく学生を育てるグローバルな教育も行っています。研究においても、公立大学の教員には優秀や研究者が多く、また優れた大学の研究施設を有し、世界レベルの研究として注目されている研究も少なくありません。

 ただし、大学を取り巻く環境は常に変化しています。国の高等教育施策、自治体や地元からの期待、技術の進展、価値の多様化など、社会は大きく変化しています。それらの変化に対応しつつ、多くの人に選ばれる公立大学であり続けることが求められます。

 本協会としては、公立大学の各校がレベルの高い教育・研究、そして地域に貢献できる活動が円滑に行えるよう、公立大学の共通課題に対して向き合い各大学が共同して課題解決できるよう努力してまいります。それが、公立大学の発展、ひいては我が国の高等教育の発展、学術研究の水準の向上につながるものだと考えております。

 公立大学の発展を通して、優秀な人材の輩出や優れた研究の社会への還元につながり、それらが地域のみならず我が国全体の発展に貢献できるよう、本協会として尽力してまいりたいと思います。地域の方々には公立大学を応援いただき、併せて関係各位のご支援・ご協力を賜りたくお願い申し上げます。

令和3年5月